『美味しい』の定義は人それぞれですが、
美味しいを分解していくと色々な要因で構成されていることがわかります。
これを理論突き詰めていくとキリがありません、、
色々な学問などが前提知識として必要となってきますが、
調べている時に『やっぱりこれが究極だよね』っていう確認作業であることに気づかされました。
それは『楽しい、安心』の美味しさです。
良好な人間関係の構築上に生まれる、
安心感や気分の向上、楽しいを共有できる+記憶に残る=美味しいの記憶として保存されます。
そしてこの美味しさの記憶を呼び起こす条件には『匂い、香り』が関わってきます。
人間の5感は特に記憶に残りやすいです、
そして記憶を呼び起こす事も可能です。
色、音、味、感触よりも特にニオイに結びついた記憶は強いものとされています。
■プルースト効果
特定のニオイが記憶や感情を呼び起こす現象です。
この時、脳内ではニオイを嗅いだときに過去の記憶から類似したものを探します。
美味しい記憶なら大体のイメージや受け入れ体制はできます。
苦い思い出なら、警戒心は強くなり受け入れるのも難しいでしょう。
未知の香りなら、新しい記憶の保存が可能となります。
その時にどういうジャンル分けをして、保存するか、という処理を脳が行います。
自身の社会環境、育ち、快、不快の思い出によっても左右されます。
海育ちなら、潮や磯の香りが心地よく、懐かしさ、安心
山育ちなら、草や花の香りが快など、、
都会育ちでも、香りの記憶は違います。
なのでニオイを嗅いだ時の感覚や意見は、快・不快も人それぞれです。
お客様の話を聞いて、そういった情報を読み取れたら
美味しさにつながる香りの提案ができるかもしれません。
■そもそも嗅覚の仕組みって?
匂いの粒子が鼻の中の嗅粘膜に達した時、嗅細胞をどのように刺激し、
その受容膜がそれをどのように受け取って細胞を興奮させ
匂いの情報をどのように伝え、情報を分析処理して記憶に残している。
種類、質、濃さの識別。保存。
(脳:ここに保存しとくねー)
(脳:思い出すときは『ニオイ』嗅いでねー)
(自分:お、おぅ、、)
匂いは光や音と違って、起点と終点がハッキリしない。不確実なものです。
視覚では3種類の細胞、嗅覚では400種類の細胞で対応しているので難しいのかもしれません。
日々の生活で人間は常に『ニオイ』と無意識に関わっている、
現代は情報社会なので原始的な嗅覚を使って危険を判断する機会は少ないので、
『ニオイ』に意識して見ると新しい発見があるかもしれませんね。
■生き物の嗅覚細胞
ヒト:400個
ウサギ:1億個
イヌ:2億個
ハト:600万個
ウシガエル:78万個
そして最も嗅覚が鋭いのはアフリカゾウ。
人間の5倍、犬の2倍の嗅覚の鋭さ。
ニオイは空気中に浮遊する化学物質が人間の嗅覚細胞が検出して初めてニオイであると認識される。
人間は驚きや緊張で特殊なニオイを発散する、犬はそのニオイで心理状態を把握するという。
人間も嗅覚を極めれば、ニオイで情報を読み取ることが出来るかもしれません。
情報を読み取り、好ましいニオイを提案、提供できれば『美味しさ』に繋がる確率は上がりそうです。
■歴史
ニオイは古代から神秘性があり宗教で利用されていた。
紀元前3000年頃、文明のある土地で香りを『物』として嗜好するようになる。
後に香料、化粧品、食材の防腐、殺虫などにも利用される。
蒸留技術が発明され、エタノールと香りが交わり香水が誕生した。
古代ローマ、エジプトを結ぶ商業都市は香料文明の先進国だった。
アラビアとヨーロッパの化学、医学が交わりさらに磨きをかけていく。
※ちなみに『ジュレップ』の語源
アラブ人の好きな薔薇の花エッセンスを抽出したものが『ジュラブ(ローズウォーター)』
ペルシア語で『グルアーブ 』『グル(薔薇)』『アーブ(水)』苦い薬を飲みやすくする為の液体。
これがアラブ語圏に伝わりジュラブと呼ばれ、英語圏に伝わると訛って『ジュレップ』となった。
アメリカでの最初の姿がラム、砂糖、水を混ぜたもの、これにミントを加えたカクテルが『ミントジュレップ』
現在ではベーススピリッツがバーボンとなっている。
中世、近世、現代と科学者により発展していき、現在に至る。
日本では、イスラム、ギリシャと交易していた中国、隋や唐経由で仏教と共に伝わった。
飛鳥、奈良時代ではワキガや口臭、美容目的で香料が使用されていた。
庶民にも伝わり、様々な香りを混ぜ込んだ練香を楽しむ遊びが流行した。
貴族の間でも香りを比較するなどのお遊戯も流行した。
鎌倉時代では貴族の真似事を武士が行い衣服や甲冑に香り付けした。
清楚な香りを楽しむ方法も流行し『香道』と呼ばれるようになった。
ざっくりですがニオイの歴史でした。
特に味覚と関わるのは、香料と香辛料を求めた15世紀から17世紀の大航海時代ですね。
ここから読み解けるのは
古代から様々なニオイの性質について精神を安定させる効果を得ていた。
感覚、浄化、瞑想出来る状態にする。
気持ちの落ち着きから来る『美味しさ』
■嗅力の鍛え方
どの年代においても女性は男性に比べて嗅力があることが研究で分かっています。
食事や化粧品、香りと関係する時間が多いので自然と鍛えられうようです。
これでわかるように、後天的に訓練で嗅力は鍛えられるということになります。
過労や睡眠不足で集中できなくなり、嗅覚の感じ方が朝と夜でも変化します。
日中はニオイを評価する傾向があるようです。
■アロマセラピーによる効果
『アロマ』ラテン語で芳香物質
『セラピー』英語で治療法、フランス語でテラピーの複合語です。
1928年にフランスの化学者ルネ・モーリス・ガットフォセ
1964年医師ジャン・ヴァルネ
による芳香治療の本が広められ、人々に認知された。
と言われても僕はピンと来なかったです。
本質的には紀元前500年頃のヒポクラテスの植物医学からの流れです。
この時にもヒポクラテスはお酒や植物に関する記録を残しています。スゴイ、、
アロマセラピーには花、葉、茎、根から得た香り(精油)で治療に活用します。
僕自身、頭痛もちで悩んでいる時、解決する為に色々調べてアロマによる効果にたどり着きました。
身近な香りで言うとペパーミント、ラベンダー、カモミール、ローズマリーなどが頭痛に効きます。
アロマテラピーはマッサージ医療と組み合わせると効果抜群。
確かにそう言うイメージがありますね、、
最近クラフトジンが非常に多くなってきました、ジンには様々なボタニカルが使用されます、
まさに花、葉、茎、根、から得た香りを使用しています。
さらに地域性の出るボタニカルを使用することで特徴が出てきます。
うまく活用すれば『美味しい』に繋げることが出来るかもしれません。
■アロマコロジー
アロマとサイコロジー(心理学)の造語です。
アロマセラピーと似ている気もしますが
違いとしてはザックリ言うと
アロマセラピーは治療、アロマコロジーは研究です。
生理・心理効果によるニオイは現代のストレス社会において重要なものだと感じます。
活動においてストレス(刺激)は必要だと思いますが、
異常な処理仕切れないストレスは不要だと思います。
行き場の無い処理を出来なったストレスは
暴飲暴食
精神暴走
欲求爆発
不眠
に繋がりかねないです。
アロマによる効果
【覚醒】
ハッカ、レモン、バジル、ローズマリー、クローブ
【睡眠】
ジャスミン、カモミール
【食欲抑制】:
ユーカリ、ローズマリー
【食欲増進】
バジル、ジンジャー、ジュニパーベリー、ナツメグ
【抗頭痛】
バジル、ペパーミント、ローズマリー、オレンジ
【ストレス】
ラベンダー、ベルガモット、レモン、ジャスミン、ジンジャー、
ローズマリー、ナツメグ
どれもお酒で使用されているものが多いです。
特に身近なものであれば『ジン』が当てはまるかと思います。
ジントニックが美味しいと感じるのは、
もしかしたら古代から香りと関わってきた
人間のDNAに刻まれた記憶の呼び起こしによる
安らぎや懐かしさによる『美味しい』かもしれません。
ここまでをまとめると
■ニオイによる効果
・記憶の呼び起こし
・痛みを取り除く
・気持ちの落ち着き
・後天的に鍛え識別力を上げることが可能
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