【メキシコの蒸留酒】 メスカルの歴史をザックリ解説

メキシコでは多くの蒸留酒が存在します。

“バカノラ、コミテコ、ツチ、ライシージャ、ソトル、ポシュ、ロン、チャランダ”などなど、、、

特に知名度が高く、人気を誇るメキシコの代表的なお酒は『テキーラ』

マイナスイメージの強いテキーラですが、知れば知るほど奥深いお酒であることが分かりました。

1974年に原産地呼称を取得、一定の基準を満たしたものだけがテキーラと名乗れます。
オーガニックで風味が良く、次の日にも響かない健康的なお酒でとても美味しいです、さらにセレブリティに人気なお酒となっています。

詳しくはこちらの記事でテキーラって何?

そして『テキーラの母』と言われるお酒が存在します、それが『メスカル』です。

元々はメスカルが盛んに生産されていましたが、ハリスコ州のテキーラ村のメスカルが有名となり、原産地呼称取得といった流れになります。
要するに、テキーラはメスカルの1種ということになります。

Q メスカルとテキーラって何が違うの?

A 使用する原料品種です。

テキーラ、メスカルの原料は『アガヴェ(Agave)』と呼ばれるアロエみたいな植物を使用します。
詳しくはこちらからメスカルとアガヴェについて

テキーラは定められた1種類の原料を使用するのに対し、メスカルは52種類の原料を使用できます。

なのでテキーラより自由度が高く、さまざまな風味を楽しめます。

もちろん原料品種以外にも、産地や生産方法など色んなテキーラと異なる部分は多いですがまずは原料品種と覚えておくことでメスカルを楽しめます。
ワインを覚えるような感覚がイメージとして近いです。

では本題に入ります。

メスカルの語源と歴史

メスカルの語源

先住民アステカ人の使うナワトル語『メトル(アガヴェ)』と『イスコア(火)・イスカリ(料理した)』の造語『料理をしたアガヴェ』の意。
※アステカ文明1428~1521年

古い呼び名は『メスカルワイン、ヴィノメスカル』
「ヴィノ」というのは「酒」を表します。

Q メスカルはいつ頃から造られていたのか?

A 16世紀 オリエント貿易で、フィリピンからヤシ酒を作る蒸留器が持ち込まれる。

初めて蒸留された記録は残っていませんが、蒸留器の歴史と照らし合わせるとこの年代で作られていた事は間違いありません。
ちなみに1538年にヴィノ・メスカルへの最古の課税記録が残っています。

蒸留器が持ち込まれる前は『プルケ』というお酒が飲まれていました。

プルケとモスト 蒸留前のお酒

メスカルの原料であるアガヴェの『ピニャ』と呼ばれるコア部分、そこで自然にできた醸造酒、それがプルケです。
度数は3~8%と低く、乳酸感のあるプルケはなんとAC200年頃から存在していました。
となると当然、儀式や祭典で使用されアステカ文明では『マヤウェル・プルケの女神』として語られました。

※プルケは蒸留しても元々の度数が低い為、薄い蒸留酒しかできませんでした。

そこで登場したのが『モスト』です。

モストはピニャを大量に集めて加熱し生成されたアガヴェシロップでジュースを作ります、そして発酵させ完成したのがモストです。

このモストを蒸留したものが『メスカル』となります。

※プルケ蒸留については、蒸留しても度数が低かった為と記載しましたが、実際は蒸留すると「プルカッタ」という蒸留酒になります。
元々作られていたメスカル・デ・プルケというスピリッツが最近トラスカラ州で復活した模様です。

メスカル作り 支配と課税 原産地呼称取得まで

1521年スペインに征服と同時に蒸留器が持ち込まれメスカル作りが盛んとなっていくが、
200年後スペイン政府が自国産ワインの輸入を有利にすべく、メスカルの流通阻止目的で特別税を適用、その後1785年メスカルは生産禁止となる。

だが7年後の1792年スペイン王カルロス4世がメスカルの販売をハリスコ州のみ許可する。

植民地であるハリスコ州、実は1758年にスペイン王が『ある人物』へ譲渡しているんです!
その人物とは『クエルボ創業者 ホセ・アントニオ・クエルボ』です。

そしてクエルボ所有の世界最古と言われる『ラ・ロヘーニャ蒸留所』で製造・販売が行われる。

ハリスコ州テキーラ地区では火山灰地質の影響で質の高いアガヴェが収穫されメスカルが盛んに生産されていた、その後テキーラ産のメスカルをテキーラと呼ぶようになった。
知名度・人気を得ているがこの時点ではまだメスカル。

1974年、先にテキーラが原産地呼称取得。
1994年にCRT設立(テキーラの品質を管理する非営利団体)、COMERCAM設立(メスカルの品質を管理する非営利団体)
1996年にメスカルが原産地呼称取得。
2013年COMERCAM改め組織名をCRMに変名。

先にテキーラが普及し世界的にも認知されていき、最近では海外のセレブ・起業家を中心にメスカルも注目されるようになりました。

ここまでが現在のメスカルの歴史となります。

ちなみにテキーラのラベルにはCRTと記載、メスカルのボトルにはホログラムステッカーが貼ってあるのでボトルを目にする機会があれば是非チェックして見てください。
↓こんな感じです↓左:テキーラ 右:メスカル

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『バーを開きたい』という目標ができ、会話力、身だしなみ、語学を学ぶ為日々取り組んでいます。 4年半バーで働いた後、派遣社員としてアパレルで働き現在はマンチェスターへ語学留学中です。 自分が独立するまでの道のりや、学んだ知識、経験を発信していきます。 よろしくお願いします^^