ウイスキーとは(Whisky、Whiskey)、、
穀物を原料として発酵、蒸留、熟成したアルコール飲料。
ざっくり言うとビールを蒸留して熟成したもの。
使用される穀物は
大麦、トウモロコシ、オート麦、ライ麦、小麦です。
大まかな国別による分類。
スコッチウイスキー/スコットランド
アイリッシュウイスキー/アイルランド
カナディアンウイスキー/カナダ
アメリカンウイスキー/ アメリカ
ジャパニーズウイスキー/日本
最近では台湾やインドなどでも、
ウイスキーが生産されている。
ちなみに
ウイスキー消費大国世界一位は『インド』
スペルの違い
ウイスキーのスペル、注目すると若干表記が違うものがあります。
スコッチ/Whisky
アイリッシュ/Whiskey
最後のキーの部分が『ky,key』
KとYの間にEが入っているか入っていないかです。
カギ無しカギ有りとも言われます。
鍵無しならスコッチ系の製法
鍵有りならアイリッシュ系の製法
という見分け方ができます。
由来はアメリカ開拓時代、ウイスキーはとても貴重品だった。
アイルランド系の移民が多く、どの家庭でも保管の際は
『key=鍵』をかけていた。
と、言われていますが
後から作られた話とも言われています。
嗜好品なので絶対的な正解はないと思います。
ロマンを感じる方でそれぞれに楽しめればいいのかな、、
※個人の感想です。
出来上がるまでの工程
“製麦、粉砕、糖化、発酵、蒸留、熟成”
【製麦】(モルティング)
3つの作業
1:浸麦
大麦を水のタンクに入れて数日間水を吸わせる。
2:発芽
特定のポイントに達すると成長を止める。
麦芽にすることでデンプンが多くなる、デンプンが多い=糖分も多くなるので麦芽にする。
3:乾燥
1、2日温風をあて発芽を止めて乾燥させる。この乾燥はメーカーよって違う。
【粉砕】(ミリング)
発芽したモルトを粉砕し、細かくする。
【糖化】(マッシング)
麦芽に含まれているデンプン、酵素で糖化することができる。
糖分があれば発酵させてアルコール飲料を作ることができる。
【発酵】(ファーメンテーション)
※キーワード「ウォッシュ(モロミ)、ウォッシュバック(発酵槽)、ウォート(麦汁)」
酵母(単細胞微生物)は糖質やアミノ酸を食べ、
代謝作用を利用してエタノールなどの様々な成分を作り出す。
酵母は10~37.8度でしか生きられない。
アルコール、炭酸ガス、コンジナーなどを生成。
※コンジナーはエステルと酸を示す用語。
他にもたくさんの要素が混在していて、
プラスになる要素もあればマイナス要素も混じっている。
酵母増殖期
開始から15時間 酵母がアミノ酸糖分を食べ増殖。液面が濁る。
発酵最盛期
15~40時間 モロミの温度が30~34度となり、エタノール、炭酸ガスの生成量が増加。
ウイスキー性質を形成する要素も誕生、酵母の増加が止まる。
モロミ熟成期
40~72時間 酵母死滅後発酵が終了、
非発酵性糖類を栄養源とする乳酸菌が増殖。
死滅した酵母から
アミノ酸、脂肪酸が流出し、これもまた乳酸菌の栄養源となる。
短い乳酸発酵だとモルティーな香りに仕上がる
長く働くとフルーティーな香りに仕上がる。
乳酸菌は300種類いますが全てに存在している訳ではありません、
原料に含まれる乳酸菌、
発酵槽が木製の場合「素材」に住み着いている乳酸菌、
様々な乳酸菌により独特なフレーバーをもたらすのではないかと言われています。
発酵終了後アルコール度数5~10%のウォッシュ(蒸留家のビール)の完成です。
何もせず放っておくと空気中の微生物が進入し腐敗してしまうので、
ウォッシュチャージャー(蒸留待ちタンク)か蒸留器へ移される。
【蒸留】(ディスティレーション)
ウォッシュを加熱してエタノールと水の沸点差を利用して、
エタノールを原液から蒸発させ分離、
この蒸気を冷却し再び液体に戻しアルコールを濃縮させる作業。
単式蒸留と連続式蒸留がある。
単式蒸留
1度の蒸留では目標の度数に達しないので最低2回の蒸留が必要となる。
なので蒸留器は2機あるいは3機で蒸留。
銅製の蒸留器が熱伝導に優れていて銅を媒体に様々な香味成分が形成され、
不快な香味成分を除去してくれる効果があり、香り豊かな仕上がりになる。
連続式蒸留
19世紀に誕生した最新鋭の蒸留機です。
9メートルを超えるメカニックな円筒が2つ並んでいてウォッシュを連続的に効率よく蒸留できる。
洗練された風味の少ないスッキリとした仕上がりになる。
蒸留を終えた液体にはそれぞれ名前がある
ヘッド(フォアショット)
蒸留初期に出てくる液体、
あまり良くない物質を含んでいるので使用しない。再利用はされる。
ハート(ミドルカット)
中間に出てくる液体、熟成に使用される。
職人さんが自身の嗅覚で香りが変わった瞬間を狙いミドルカットする(数秒単位)。
現在ではコンピューター管理しているところもある。
テール(フェイント)
最後に出てくる液体、
ヘッド同様、あまり良くない物質を含んでいるので使用しない。
再利用はされる。
ミドルカットを終えた無色透明な度数の高い蒸留液を蒸留レシーバーに溜めて、熟成に使用する。
【熟成】(エイジング)
蒸留後の液体は無色透明で度数が高いです。
この蒸留液を木製の樽に移し熟成していきます。
仕込み、蒸留までは1週間程で済みますが、
熟成には長い時間が必要となります。最低でも3年。
樽の中で起きている現象。
- 本来は出したくないが出てしまう香り、オフフレーバーの除去。
- 樽に含まれる成分の溶出。
- 蒸散する、湿気が多いとアルコール分が減り、乾燥していると水分が蒸発する。
- 樽内で分子結合が行われている。アルコール、水、樽の成分、その他の成分が長い時間をかけ分子レベルで結合していく。
超熟されたものはまろやかでトロミがあり、豊かな香りのあるテイストになります。
貯蔵する場所や位置、温度、湿度などでも変化すると言われています。
中には樽が眠る場所ということで子守唄を歌う蒸留所もあります。
熟成中に通年、2~3%のアルコールと水が蒸発していきます、
これを「エンジェルズシェア(天使の分け前)」と言います。
なんともお洒落な言い回しですよね、、
天使達がウイスキー作りを教えてくれた、
そして教えてくれた代償として年に2~3%飲んで行く。
10年とかになってくると場合によっては樽の半分無くなっている事も!
酒が好きなのは人間だけではないんですね、、笑
寒い地域では熟成はゆっくり進み蒸発も少ないので
長期の熟成が可能です。
一方暑い地域では熟成は早く進みますが、
たくさん蒸発するので短期熟成が可能です。
結合、分解、形成、酸化などにより味の変化が起きる。
出来上がってからじゃないと味の確認が取れないという事です。
もちろん味を構成する要素はまだまだあります。
とても奥深いです。
以上がウイスキーが出来るまでの大まかな流れです。
時の洗礼を受けたものばかりで完成する、なんとも魅力的で神秘的。
その当時の原材料、樽、空気、人の魂(スピリッツ)が込められているウイスキー、
僕の感覚では時空を超え当時の時代へタイムスリップできるお酒です。
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